弊社でもRuby on Railsを教えるスタートアップ特化型のWebエンジニア養成スクール「RUNTEQ」を運営していますが、今はエンジニアになりたい方が増えたので、プログラミングスクールもいっぱい出て来ていますよね。その中でもWeb系が人気のせいかRuby on Railsを教えるスクールが溢れかえっています。ですが、ツイッターなどでもRubyのスクールを卒業したのに、紹介してくれる会社にRubyをやっている会社がない、Javaの会社を紹介されたという話がよく挙がっています。
またプログラミングスクールでRubyを学んでJavaの現場に入るという事案を観測してしまった。
— ケンゾー@ブログやってます (@kenzoymmt) August 21, 2019
これは一体どういう原理なのだろう。誰か詳しい人教えてください。
今回はこの謎を解明するべく我々スタッフ一同はアマゾンの奥地へ飛んだ、ではなくこうなってしまう仕組みを私なりの見解で解説したいと思います。
スクールの就職支援の仕組み
まずスクールの就職支援から説明します。
スクールの就職支援の仕組みは主に以下の3つに分類されると思います。
- 外部の人材エージェントと提携している
- 内部で人材エージェントの機能を持っている
- 説明会や簡単な紹介などは行うが人材紹介機能は持っていない
スクールの就職支援は通常1または2の形で人材エージェントの機能を内部か外部に持っており、就職支援という形で履歴書や面接のレビューを行い、卒業生を企業に紹介することで就職が決まった際に紹介フィーを受け取るという形で就職支援が人材紹介のビジネスになっているところが一般的かと思います。ちなみに無料スクールはこの人材紹介のみが売上となるので、就職支援を利用することが必須になっていると思います。
就職支援が人材紹介になっていることで、紹介するインセンティブが発生し、積極的に対応してくれるという意味もある為、3のように紹介機能を持っていない場合、就職支援についてはあまり力が入らないという見方も出来ます。
RubyとJavaの就職事情
次にRubyとJavaの就職事情を説明いたします。
※ ここは細かいところまで説明するとかなり長くなりそうなので、ある程度でまとめます。必ずしもこうというわけではないですが、パターン的に比較的多いというところで留めておいてください。
Ruby
- Web業界、特にスタートアップで多く採用されている言語
- 開発フローはアジャイルが多い
- 上から下までを全て担当することが多い為プロジェクトは少数精鋭
- 採用のハードルは高い
- 未経験の募集枠は少ない
Rubyの仕事は通常Ruby on Railsとほぼ同義なほどRubyの仕事といえばRailsです。Railsのプロジェクトは通常数名から多くても十数名程度の少数精鋭で開発することが多いので、1人当たりのプログラミングのスキル要求が高くなり、結果として未経験を入れる余裕があまりなくなってしまっています。
Java
- SIer業界のスタンダードになっている言語
- 開発フローはウォーターフォールが多い
- 銀行や保険など巨大基幹システムなどで使われている為、プロジェクトに関わる人が多い
- 1プロジェクトで人を集める為多重下請け構造にもなりがちだが、採用の枠も多い
- 未経験でも出来る仕事が多いので、SESも含めて未経験募集枠が多い
Javaの仕事はSIerさんが扱う金融や会計システムなど、超巨大なシステムの開発を扱うことも多く、テスターさんやExcelで仕様書を書くSEさんも含めて大量の人が参画します。その為Webと比較すると未経験でも採用されやすいのかなと思っています。※ 元請けという意味のSIerではなくSI業界として採用枠が多いということです。
人材エージェントのメリット
そんな就職事情のなか、人材エージェントさんの立場に立ってみるとどうでしょうか。人材エージェントさんが好む形は以下のような形ではないでしょうか
- クライアント一社で受け入れキャパが多いほうがまとめて紹介出来るので手間が少ない
- 新規開拓より古くから付き合ってるクライアントのほうが手間が少なく話もしやすい
- 決まりやすいところに紹介したほうが手間が少ない
エージェントさんが売上を作ろうと思うと手間が少なく大量に紹介出来る方がいいというのは明白です。ですので、新しくて未経験採用のキャパが少なく、それでいてハードルの高いスタートアップを開拓するよりは、元々お付き合いがあり通年で未経験採用をしているSI・SES系の会社さんのほうが圧倒的にやりやすいんじゃないかなと思います。
生徒の集めやすさ
であればプログラミングスクールは仕事の量も多く、未経験を就職させやすいSI・SES系の会社が多く採用しているJavaを教えればいいんじゃないの?と思うと思いますが、未経験の方が憧れてるプログラマ像ってやっぱりWeb系なんですよね。特にC向けサービス。最近言われるリモートワークもやりやすかったり私服だったりMacだったり。なので、プログラミングスクールとしてはRailsでWeb系のほうが集客しやすいんじゃないのかなーというのをつい昨日モローさんがツイートされてました。
インフルエンサー・スクールは一様にRails推しですが多くの場合「彼らのビジネスに都合がよい」という商業的な理由です。
— IT菩薩@モロー(毛呂 淳一朗) (@Morow99956707) December 6, 2019
①自社開発のスタートアップで利用される
⇒受講生を集めるのが簡単
②チュートリアルで「それっぽい」ポートフォリオが作れる
学びやすさより売上を取るなら正しい選択です。
まとめ
というわけで「なぜRubyのスクールでJavaの会社を紹介されるのか」というのはスクールの思惑と人材エージェントの思惑を合致させた結果そうなったと考えられるのではないでしょうかね。ただそれはそうとして簡単に感想を言うと
詐欺ですよね
ちなみにRUNTEQではJavaの会社は紹介していません。そもそもうちの会社がRails、スタートアップの商流で仕事をしていてJavaの会社を知らないので、Javaの会社やSI・SES系の会社を紹介してと言われても出来ないんですよね。
今回はそんなポジショントークで締めくくりたいと思います。ではでは。