「プライベートで勉強」というワークライフバランスの呪縛

エンジニア

アクシア米村さんの記事が話題になっていたので思ったところを自分なりにまとめてみました。

「プライベートでは一切勉強したくない」と言っていた社員のこと

まず基本スタンスとしては米村さんの意見はもちろん否定しませんし、賛成というか当然の話なので勉強するかしないかみたいな話については言及しません。ただ勉強の時間を仕事とするかプライベートとするかという部分で少しだけ自分の考えと違う気がしたので、その辺りについて書こうと思います。

プライベートでの勉強

自分の過去を思い返してみるとプライベートで勉強したことって実はほとんどない気がしています。私がかつていた会社は今で言うブラックのようなところもありましたし、途中からは裁量労働になるので残業というものをそもそも気にしなくもなっていました。そういった環境なので勉強はすべて仕事の中でやってましたし、業務に近いところを覚えたほうがすぐに実践出来て知識の定着率も上がるというのは分かっていたので、なるべく実践に近いところを中心に業務として勉強していました。気分が乗ってくると夜遅くなることもありましたし、逆に乗らないので日中ずっと本屋で技術本を漁っていたこともありました。いずれも仕事の時間であり、勉強の時間という認識です。

残業0の難しさ

自分の体験を一例としてあげましたが、技術職を含む知識労働者の勉強において仕事とプライベートを線引きすること自体すごく難しいと思うんです。ただアクシアさんのように残業0を謳ってしまうとそこを明確に線引きしなくてはいけなくなってしまうので、勘違いしたワークライフバランスな人が来てしまうこともあるんだろうとは思います。もちろんかつてのSIerのような超長時間労働のブラック企業がまだまだ残っているのも事実なので、アンチテーゼとして開発の会社が残業0を宣言するというのは素晴らしいことだとは思いますが、ワークライフバランスを軸に制度を組み立てていくと「勉強はプライベートで」と言わざるを得ないのだろうなと感じました。

残業制度の違和感

残業制度や残業規制はブラック企業を取り締まるために必要だというのも分かりますし、きちんとブラック企業は排除していって欲しいのですが、この制度に準じすぎると自由度が減り、働くことがひどく窮屈にもなってきます。知識労働者の場合特に評価はプロセスではなく結果で見るべきなのに、そのプロセスの時間を長くかけた人のほうが多く報酬をもらえる制度ってそもそもおかしいですよね。そのプロセスに勉強というものも含まれると思うんですが、覚えが悪い人のほうが多く報酬をもらってしまうといよいよ本末転倒ですよね。

ワークアズライフな制度設計

ワークライフバランスは働きながら学ぶということにおいて本質から外れてしまうなと思っていたので、私がやっている「スタートアップテクノロジー」という会社でもワークライフバランスからは大きく外れた制度設計を行っていきました。途中落合陽一さんの「ワークアズライフ」という考え方にも出会って自分が考えていた仕事という世界観と近かったのでかなり参考にもさせてもらっています。

※ 「落合陽一氏が語るワークアズライフの考え方とこれからの働き方」で簡単に分かりやすく説明してあったのでリンクを貼っておきます。

こちらでも記載されているように、簡単に言うと

寝ている時間以外はすべて仕事でありその仕事が趣味であるという考え

です。もちろん「学び」も仕事に含まれると思っています。ですので法令を遵守した上でこれらを実現する制度を整備しています。一例を挙げると

  • コアタイムなしフレックス
    • 1日3時間以上の勤務で出社カウント
    • 月の勤務時間下限なし
  • 働く場所も問わない
  • みなし残業時間45時間(三六協定の範囲内)
  • 副業自由
  • 有給は入社初月から付与

のような形で可能な限り時間については下限と上限をゆるくしており、これらを信頼と結果評価で運用しています。ですので45時間を超えなければ今自分がやっている仕事や勉強を仕事に入れてもいいしプライベートに入れてもいいので自由に時間を決めてもらってます。もちろん22時以降や休日は残業として扱われてしまうので業務で指示したものでなければやらないでねというルールにしています。(夕方から仕事始めて深夜残業はダメですよってことです)副業についてもそれ自体が大きな学びになるので積極的にやってもらってます。

こういった制度にすることで自由にストレスなく働くということを覚えてもらい、時間の使い方は人それぞれだけど結果を出すことで評価や報酬が上がるような、市場原理に則った一人で生きていく力(社内ではストリート力と呼んでます)を身に着けていってもらいたいと思ってやっています。

まとめ

人生100年時代がもう既に到来していて終身雇用も崩壊であったり年金引上げなども起こっている時代なので、一生仕事と付き合っていかないといけないですし、そのために一生学び続けたり自己投資することが当然の時代に入ってきているので、今後は仕事=苦痛、プライベート=楽しい、勉強=努力=苦労みたいな価値観自体を変えていかないとつらいんじゃないですかね。長時間労働=ブラックというのも過去のブラック企業とワークライフバランスの呪縛に縛られた価値観だと思ったんですが、世の中はもう2周くらい回り始めていて、色々な働き方も出てきているので自分に合った働き方、学び方を探してみるといいのかなと思います。久々で駄文になってしまいましたが、このあたりで。