実務経験を超えるオリジナルポートフォリオの作り方

Webサービス

現在未経験からのWebエンジニア転職は、書類すら見てもらえないくらい倍率が高くなってきており、単に「勉強しました」、「やる気はあります」だけでは箸にも棒にもかからない状態となっています。そういった状況もあり、駆け出しエンジニアの方の必要学習量も1000時間となっており、場合によっては経験1年目の方よりもレベルの高い駆け出しエンジニアの方が現れはじめています。

この熾烈な競争の中で書類選考を通し、頭一つ抜ける方法として確立されている手法がサービス志向のオリジナルポートフォリオ(個人サービス)を用いる方法です。最近では作るだけではなく、実際にローンチしてユーザを獲得し、サービス運用されている方もいるくらいオリジナルポートフォリオのレベルも上がっています。

今回は、個人サービスとして成立し、未経験ではなく経験者採用でも書類が通るレベルのオリジナルポートフォリオの作り方をお伝えしたいと思います

企画・設計

運用実績を作るためには、単に面白いだけではなく実際にユーザに使われるサービスとして企画・設計を考える必要があります。サービスを作る上での最も需要な考え方がPSF(ProblemSolutionFit)です。PSFの説明は割愛しますが、これを理解した上で、個人サービスの場合は課題が大きすぎると企業レベルの労力が必要となってしまうので、課題は小さくニッチなものを選択されるとよいと思います。また作者自身が一番のユーザになるくらい課題に共感出来ていると、開発モチベーションにもつながり、就活でもパーソナリティを説明しやすくなるので、自分の趣味や嗜好に合わせた課題を選択出来るといいですね。ちなみに解決方法をあえて間違えることでおバカアプリにも出来るので、笑わせることが好きな人はおバカアプリの選択も検討しましょう。また企画については自分がいいと思っても他人が全く興味が持てないこともあるので、なるべく色々な人に感想を聞きながら進めましょう。

機能・技術

よく技術をドヤるだけのつまらないサービスを作られる方もいますが、ユーザに興味を持たれないことと書類を見てもらえないことはほぼ同義になるので、技術ありきのサービス作りはオススメしません。ただ自分が出来ることから機能を考えるとひどくつまらないものが出来やすいので、1000時間程度の学習を行い、やりたいことを実現するためのスキルは最低限身につけてください。

また、作る機能は課題を解決するための最低限の機能 = MVP(Minimum Viable Product)という概念を理解し、MVPの形でリリースまでの期間をなるべく短く設定してください。リリース後にユーザに使い始めてもらい、ユーザからのフィードバックを聞いて、コンセプトがぶれない形で追加開発→ リリースのサイクルをまわせるようになればモチベーションも続きやすく、より良いサービスの形も見えてくると思います。

以降はテクニカルなお話となります。

UI・トップページ

人のイメージが第一印象で決まってしまうのと同様に、トップページはサービスの顔となりますし、UIが汚いと使ってみようという気すらなくなってしまいます。トップページはサービスがひと目で理解出来るくらい分かりやすく作り込み、UIも今はきれいなCSSフレームワークが多数あるので、サービスのイメージにマッチしたものを選定してください。ロゴや挿絵などをココナラで発注することで、オリジナリティが表現出来るので、余裕のある方は利用してみてください。

【個人開発・ポートフォリオに】簡単にいい感じのデザインにできるサービスまとめ

ドメイン・HTTPS対応

ドメインがxxxx.herokuapp.comだったり、サイトがhttpsに対応出来ていないと素人感が出てしまうのと、個人サービスとして運用されていないように捉えられてしまいます。こういったちょっとした違いで印象がだいぶ変わってしまうので、サービスを作る上では独自ドメインやhttpsの対応は当然のように対応してください。独自ドメインを設定する際にDNSの仕組みも合わせて勉強しておいくといいですね。

トラッキング

実際にどれくらいのアクセスがあったか、どれくらいのユーザが訪問したのかはサービスを運営する上で重要な指標となります。またある程度インパクトのある数字が取れ、それをプロフィールに記載することで書類が通りやすくなったという話も聞きますので、リリース時にGoogleAnalyticsの設定を忘れずに行ってください。最低限のSEO対策としてGoogleSearchConsoleの設定もセットでやっておくといいですね。

利用規約・プライバシーポリシー

一般的に会員登録させるサービスも多いと思うので、ユーザの安心感の為であったり、セキュリティ、個人情報保護の意識を持って運営しているという見え方の為にも、他のサービスを参考にしたり、テンプレートを探すことで、利用規約やプライバシーポリシーは必ず対応しましょう。また、あまりないとは思いますが、課金する場合は特商法表記もお忘れなく。

マーケティング

サービスの中身だけでなく、サービスを見つけてもらう為の工夫も行っていきましょう。よくやる方法は、ツイッターへの相互導線をうまく設定出来ると広がりやすいので、使い始めてからシェアするまでを分かりやすく簡単にしたり、シェアする際のデフォルトの文言やOGPの画像を工夫することでサイトに引き込みやすくします。最近では開発の経緯や使用技術などをQiitaに投稿することで、サービスを知ってもらうという方法もあるようですね。

マネタイズ

個人サービスでのマネタイズは、一時的な爆発ではなく、それなりの数のユーザが継続して使い続けてくれないと出来ないことなので、非常に難易度が高いです。単純に稼ぐだけならブログやアフィリエイト、YouTubeなどをやったほうがまだ確率は高いと思います。ですので、基本的にサービスでのマネタイズは考えないほうがよいのですが、それでも試してみたいという方はA8GoogleAdSense などの広告をお試しください。

まとめ

今は個人の時代となってきており、自分自身を宣伝することがキャリアにもつながってきています。せっかくWebサービスを作る機会があるのであれば、就活の為だけではなく、自分の名刺代わりになるような個人サービスを作成して育てていけると、Webエンジニアになるまでだけでなくその後のWebエンジニアとしてのつながりを増やしたり、キャリアを作っていく上できっとみなさんの武器として役に立っていくと思います。

私自身、「シャチクのミカタ」や「告白の行方」という個人サービスでいくつものコンテストで賞をもらったり、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など多くのメディアで取材していただくことで、名前も売れて、様々な人とつながることが出来ました。もちろんそういった経験がフリーランスをはじめた時でも起業した後でも十分に活きており、仕事の受注につながったり、多くの人脈につながったりしています。

未経験でこれからWebエンジニアを目指す方も、ぜひオリジナルポートフォリオ=個人サービスを作っていただき、個人のプレゼンスを高めて今後業界で活躍していっていただければと思います。