投資を受けないという選択

会社のほうが7月で2期目が終わり、3期目に入りました。今期も周りの方にも恵まれ、堅調に売上も伸びました。現在は従業員が20名弱まで増え、それまでに引っ越しを2回行ってオフィスが広くなり、4月には新卒も2名入社して、会社になったなーという印象と共に社員旅行にも年2回行ったり、毎月全員で飲みに行ったり、出社自由制度が定着して出社芸という新たな領域が見えたり、誰からの制約もなく自由に楽しくやれているなーと実感しています。

そういった状態が作れたのも、今期を振り返ってみて2期目のスタート時に

投資を受けない

という決断をしたことが大きかったなと思います。今回は少しその辺りについて書いてみたいと思います。これからスタートアップをやりたい、起業したいという方にはぜひこういう選択肢もあるというところを聞いていただければと思います。

Do not start a startup

スタートアップ界隈にいたもんで

2014年の年末くらいからCo-Edo有言Laboという草インキュベーションプログラムに参加したのをきっかけに2015年2月に完全時給制のRails専門クラウドソーシング「StartupLabo」というものをリリースいたしました。結果から見ると、実はこのリリースがきっかけで、スタートアップテクノロジーという会社が大きく動き出しました。それまで元々フリーランスと変わらない形で1人で会社をやっていたのですが、このリリースをきっかけにうちに開発を依頼したいというスタートアップさんが出てきたり、メンバーとしてスタートアップテクノロジーに参加してくれるエンジニアも出てきて、会社らしい形が出来はじめたのもその頃です。メンバーも増え、知り合いのエンジニアが起業するということで一緒にオフィスも借りました。ちょうどその頃にうちの現在のCFOと会い、一緒にやっていこうという話にもなったんですが、その頃にはもう既にサービス、メンバー、初期クライアントがあり、スタートアップ界隈にもいたもんで、短期でバイアウト出来るように調達しよう!という頭になっていました。

 

VCまわりスタート

CFOの紹介や私の元々の知り合いの方もいて、10社以上のVCさんとアポを取らせていただき、お話をさせていただきました。その頃の事業計画に落としたビジネスモデルとしては、エンジニアのPM + StartupLaboで月額制の受託開発をまわすというものでした。実際には受託なので、やはり「どうせ受託でしょ?」とか「スケールしないよね?」という辛辣な意見もいただく中、何社かから前向きに検討いただけることとなりました。その後その中から考え方が合う担当者の方がいらっしゃる2社に絞らせていただき、担当者の方と共に実際の数字の話や調達をするためのビジネスモデルのブラッシュアップを行う日々となりました。

 

有安さんのメンタリング

この時期、数字やビジネスモデルをブラッシュアップさせていくうちに、徐々にブラッシュアップというより調達金額を上げるためにビジネスモデルや数字を作るようになっていき、自分の中でも段々、違和感が大きくなっていっていました。とはいえ大きい金額を調達することがかっこいいとかバイアウト時の金額を計算することでそういった違和感を無視していたタイミングで元々私がフリーランスの頃に週1でお世話になっていたコーチ・ユナイテッド株式会社の有安さんに相談させてもらえることになりました。有安さんについてはこちらを見てみてください。

いつものように資料をもってプレゼンさせてもらったんですが、結論から言うと有安さんからは

「投資は受けないほうがいいよ」

 

と言われました。内容としては私が作ったビジネスモデルがビジネスとして固まっていないことや投資を受けるモデルではないこと、お金をもらうことのリスク、自分で取れるリスクであれば自分で取ったほうがいいということなど色々と教えていただきました。私としても元々違和感がある中、自分の虚栄心でそれに蓋をしてしまったことにハッと気が付き、すぐに投資を受けることをやめることにし、その日の午後にVCの方と打ち合わせがあったので、そこでお断りさせていただきました。担当の方にはそれまで色々とお手伝いいただいて非常に申し訳なかったので、これからもサポートする側としてお手伝いさせていただければと思っております。

 

その後

その後もEXITされた、とある先輩起業家の方にも菊本さんのところは調達しないほうがいいとアドバイスをもらったり、とあるスタートアップの元CTOがCOOとして入社してくれたこと、資金についてはデットで少額を調達し利益を着実に出す形に受託ビジネスを変化させていったこと、採用計画など持たずに本当にいいと思った人だけ採用したこと、人が入りきらなくなってからオフィス拡大を進めたことなど、運要素も結構ありますが、無理のない形で会社の運営も安定拡大していくことが出来ました。

 

みんなが笑える会社

こうやって振り返ってみると有安さんのメンタリングがうちの会社にとって大きいターニングポイントでした。どうしてもITやスタートアップ界隈にいると、他社がやっていないビジネスモデルを見つけて、VCから投資を受け、バイアウトか上場を目指すっていうのがテンプレみたいになっていて、私もそれが当たり前だと思って自分もその方向に進んでいたのですが、落ち着いて考えると、会社ってむしろ銀行から融資を受けて、新しくないビジネスを行ない、堅実に売上を出していくのが普通なんですよね。うちも普通の中小企業として1年経営してみて、あの時投資を受けなくてよかったなーと思ったのが

  • 気兼ねなく新しいビジネスにチャレンジ出来る
  • 気兼ねなく小さいビジネスにチャレンジ出来る
  • 失敗したらすぐに諦められる
  • 売上目標を持たなくてもいいし、グロースを強制されない
  • 稼いだお金は自由に使える

というところに気づけたことです。もちろん投資を受けたら上記が全部出来なくなるわけでもないですし、やりたいビジネスや作りたい世界があり、そのための時間を買うという点で投資を受けるという選択も素晴らしいと思います。ただ私のスタンスとしてそこに対してそこまでの強い思いもなかったですし、世界を変えたいとも全く思っていなく、私に関わってくれる従業員であったりお客様だったり、身近な人が笑えるような会社でありたいなと今は思っているので、今後も投資を受けるつもりはありません。

 

最近では無責任に会社を辞めてから相談に来いというVCの方もいらっしゃるようですが、あくまでビジネスが固まって資金の相談にいくのであればいいとは思うのですが、そもそも投資をする立場のVCの人に起業の相談をすること自体が違うと思うんですよね。ひょっとしたら私みたいにスタートアップじゃなくてもいいという選択肢を取れたりすることもあると思うので、相談するなら色々な立場の経営者の人に聞いてみるといいんじゃないですかね。もちろん会社は辞めずに。

 

 


About the author

Ruby on Rails専門のクラウドソーシング「StartupLabo」を運営する株式会社StartupTechnology代表。 ネタ系Webサービス「シャチクのミカタ」、「告白の行方」なんかも作ってたりしてます。 http://startup-technology.com